クレアチン (creatine) とは、1-メチルグアニジノ酢酸(あるいはメチルグリコシアミン)のことで、有機酸の一種である。略号は Cr。筋肉中に存在する。

クレアチンは生体内において4-ホスホクレアチン(クレアチンリン酸)に変換され、エネルギー源として貯蔵される(後述)。そのため、瞬発力を必要とするスポーツなどに有効といわれており、クレアチンパウダーが多数のメーカーからサプリメントとして販売されている。

クレアチンの代謝産物がクレアチニンで、腎機能の評価(クレアチニンクリアランス)に利用される物質として代表的である。

生合成

アルギニンとグリシンから、グリシンアミジノトランスフェラーゼ(EC 2.1.4.1)、グアニジノ酢酸-N-メチルトランスフェラーゼ (EC 2.1.1.2) 、クレアチンキナーゼ (EC 2.7.3.2)の作用により、クレアチンリン酸として合成される。この反応は腎臓と肝臓にて行われる。

腎臓における生合成過程(グリシンアミジノトランスフェラーゼによるアミジン基の転移)
L-アルギニン グリシン → グアニジノ酢酸 L-オルニチン
肝臓における生合成過程(グアニジノ酢酸-N-メチルトランスフェラーゼによるメチル化)
グアニジノ酢酸 S-アデノシルメチオニン → クレアチン S-アデノシル-L-ホモシステイン

クレアチンはさらにクレアチンキナーゼの作用により、ATP1分子を消費してクレアチンリン酸に変換される。この反応は筋肉組織にてATP濃度が高い休息時などに行われる。

クレアチン ATP → クレアチンリン酸 ADP

クレアチンリン酸は筋肉のように瞬時に多量にエネルギーを消費する器官において、高エネルギーリン酸結合の貯蔵物質として働く。急激な運動により筋肉組織にてATPが不足した場合、

クレアチンリン酸 ADP → クレアチン ATP

という反応によりATPの欠乏を防ぐ。ここで生じたクレアチンはクレアチンキナーゼにより再びリン酸化され、クレアチンリン酸として再利用されるか、非可逆的な非酵素的脱水を経てクレアチニンになる。クレアチニンは最終的には腎臓にて尿中に排泄される。

なお、アルギニンからクレアチニンに至る経路をクレアチン経路という。

外部からの摂取

カルニチン同様、肉と魚に多く含まれ、植物にはほとんど含まれない。

スポーツサプリメント

糖との同時摂取で、インスリンの作用(クレアチン・トランスポーターの刺激)により、骨格筋への取り込みが促進される。

消費量

体重や筋肉量に依るが、70kgの人では体内に約120g~140gのクレアチンが存在している。消費量は1日に2g程度だが、クレアチンは体のエネルギーを作り出すのに必要な成分であるため、強度の高い運動などでは消費量が増えることがある。

関連項目

  • クレアチニン

外部リンク

  • クレアチン - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)

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